プロジェクトチームがひとつになり、JB-101をお届けするのが最大の使命

2022.01.31

Vol.4に引き続き、「肝移植において誘導型抑制性 T 細胞(JB-101)を使った免疫寛容」プロジェク トに携わるグループをご紹介します。
今回は製 造グループ、品質管理グループ、品質保証グルー プ、治験製品輸送担当のスタッフの皆さんから、 JB-101が患者さんのもとに届くまでのお話を伺 いました。

細心の注意を払い、難易度の高い細胞培養に挑む

治験製品製造グループの業務は医療施設から送られてきた患者さんの検体からJB-101を調製すること。作業は無菌状態で行う必要があるため、同グループには順天堂以外に製薬会社や他大学から無菌条件下での細胞調製を得意とするエキスパートが参画しています。メンバー全員がこれまでのキャリアで培ってきた細胞培養の知識や経験をフル活用して、難易度が高い作業に臨んでいます。

患者さんの検体からリンパ球を取り出す際には、“ひとつでも多くの細胞を採取する”ことを目標に、培養容器への入れ方ひとつにも細心の注意を払っています。

また、患者さんのお体に負担がかかることや、一般的な生体肝移植より医療スタッフの作業が増えることを聞いたときには、身が引き締まる思いだったといいます。

「“必ず患者さんのもとにJB-101をお返しするんだ!”という強い気持ちで全員が作業を行っています。何度経験しても緊張しますし、逆に慣れることがあってはいけないと考えています」と語るスタッフの言葉にも力がこもります。

基礎研究・製剤・品質保証・薬事の各チームメンバー

同じ使命を共有するチームとして安心安全な治験製品を送り出す

品質検査グループは治験製品製造グループが調製したJB-101が患者さんに問題なく投与できるものかどうか、光学的検査や生理活性試験などを実施し、安全性を確認します。

業務に携わるのは深夜帯であることが多い。治験製品製造グループが調製したJB-101を一部取り分け、各種検査や試験を開始するのが午前2~3時。作業が終了するのが明け方になることもあります。治験製品製造グループとスムーズに連携することが作業時間の短縮につながるため、普段から綿密にコミュニケーションを取るなどお互いの作業を理解できるよう努めているため、「同じグループのような感覚」といいます。お話から伝わってくるのは、それぞれが専門分野での責任を果たしつつ連携するプロフェッショナル同士の連帯感。「治験施設の方々と直接お会いする機会はまだありませんが、内田先生のお話などを通じて親近感を持っています。現場の方々とは同じ使命を持つひとつのチームだと感じています」。

培養した細胞を顕微鏡で慎重に確認。高度な知識と経験が必要だ。

作業の再現性を高めるためわかりやすい手順書づくりを

書類管理グループの業務は、治験製品製造グループや品質検査グループの手順書を整備すること。治験ごとに改善点を盛り込み、材料や部材に変更があるたびに改訂するなど、誰が担当しても同じ作業ができるようにマニュアル化を進めています。特にJB-101は「生もの」なのでスピードが求められることが多く、詳細な部分まで詰めているそうです。「再生医療等製品は作業のどこがキーになっているのか、わかりづらいところがあります。また、無菌室内での操作はより細かく記録しています」。


メンバーは全員が研究開発の経験者。類似製品の調製経験があることから採用され、実際に手を動かしながら教えてもらうことで現場のイメージを共有しているといいます。「奥村先生や内田先生の論文を拝読し、“世の中の役に立てる!”と考え、プロジェクトに参加させていただきました。まだ実感がありませんが、患者さんが免疫寛容に至られたとき、社会貢献できたと実感すると思います」。

輸送後の「ありがとう」が最大のやりがい 

治験製品輸送担当は患者さんの末梢血や治験製品を一定の温度に保ちつつ、スピーディかつ確実に輸送します。この治験で決められた時間内に輸送するための深夜早朝の輸送体制の経験がなかったため、改めて輸送行程を立案。患者さんの容態により予定が変更になった場合は、その都度各部署と連携し、柔軟に対応します。最大のやりがいは輸送後の「ありがとう」「無事投与できました」という言葉だといいます。

治験製品製造グループ

過去2例の治験でJB-101の投与が無事終わり、副作用もないと聞き、「つくってよかった」「患者さんに貢献できている」と感じています。

本プロジェクトは移植医療を変える可能性があります。再生医療等製品の承認はまだ数が少ないですが、そのひとつとなり、安心安全な治療製品を患者さんにお届けしたいです。

品質検査グループグループ

「患者さんからいただいた貴重な細胞を、無事患者さんへ送り返したい!」という想いで業務に務めています。

昼夜逆転の作業もあり、体力的につらいときもありますが、患者さんのことを考えるとモチベーションが上がります。治験の患者さんの向こうに多くの患者さんが待っておられることをいつも念頭に置いています。

品質保証グループ

JB-101の製造手順書を誰もが理解しやすく使いやすいものになるよう記録・整理するのが私たちの仕事です。再生医療等製品として承認され、JB-101が数多く調製されるようになったとき、安全で均一化された製品ができるよう、しっかりと基礎を固めていきたいです。

治験製品輸送担当

本治験が1日も早く保険診療として適用され、患者さんのQOL向上の一翼を担えることができれば幸いです。

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